【ジェンダー平等】
会計年度任用職員の処遇改善について
全国自治体労働者連合組合では、全国の自治体で働く約62万人の会計年度任用職員を対象とする「今だから聴きたい!誇りと怒りの2022年アンケート」に取り組み、オンライン回答率57%の結果をまとめました。会計年度任用職員の約8割が女性であり、その4分の1が「主な家計維持者」と答え、そのうち4分の3が年収250万円未満、そして2分の1が世帯年収で200万円未満の「官製ワーキングプアの世帯」であることがわかりました。会計年度任用職員制度の低すぎる処遇が、ワーキングプア世帯を生み出しています。ジェンダー平等の視点からも、行政として速やかに実効性のある処遇改善が求められます。
尼崎市は国の制度をそのまま引き継いでおり、会計年度任用職員の8割が女性、平均年収は260万円、期末手当はありますがそこには勤勉手当はありません。ジェンダー平等の観点から本市の会計年度職員の処遇改善を行い、女性職員のやりがいと自治体職員である誇りを持ち続けながら仕事を継続できる道筋を作ってほしいと思います。
また女性幹部職員の登用についてです。市長の公約には「女性幹部の登用などダイバーシティーマネジメントを推進します」とあります。2021年兵庫男女共同参画についての調べでは、阪神間の女性管理職の占める割合は、あしや35.2%、伊丹27.2%、尼崎12.4%で、阪神間都市で最も低いのが尼崎市でした女性幹部の登用を積極的に実現するべきです。
Q16、自治体から会計年度任用職員の官製ワーキングプアを生み出さない処遇改善について、市長の見解を求めます。また今後、女性幹部職員の登用をどのようにすすめますか?
【自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)】
自治体のデジタル化を進める、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)が、今から3年後の2025年より実施とされています。
2021年5月、当時の菅政権のもとでデジタル関連法が国会で成立しました。関連法には6つの法律があります。①デジタル社会形成基本法②デジタル庁設置法③デジタル社会形成整備法④公的給付支給預貯金口座登録法⑤預貯金口座マイナンバー管理法⑥自治体情報システム標準化法等です。日本共産党は、プライバシー侵害、地方自治の侵害、国民生活への影響、そして官民癒着の問題があるとの理由から、これらの法律全てに反対しました。
第1の問題は、デジタル技術は、誰が、何の目的でどのように使うのかということです。
・デジタル技術は人類が生み出した最新の技術であり、実際においてもこの技術を有効に活用して、住民の福祉の増進と自治体職員の労働条件の改善を図ることが必要です。
・しかし技術は未完成でセキュリティーは万全ではありません。使い方によって住民に重大な被害をもたらしかねないという問題を抱えています。
第2の問題は、政府がすすめるデジタル化戦略で住民の暮らし、地域は良くなるのかということです。国が進めてきた構造改革によって、非正規雇用の拡大、社会保障の削減と負担増、大企業減税、消費税増税、賃金の地域間格差・貧困と格差の拡大等が生まれています。国の「行政改革」によって〜住民サービス削減、市町村広域合併、三位一体改革、自治体職員削減、民営化などがすすみました。
政府の「デジタル田園都市国家構想」で、「人口減少、人材不足の問題が解消し、住民の利便性向上と行政の効率化が実現する」、「日本の新たな経済成長が実現できる」、「東京一極集中を是正できる」、「誰1人取り残さない、人に優しい社会になる」等とあり、デジタル化さえ進めれば、地域の未来はバラ色となるような記述があります。本当にそうでしょうか?
そうであるなら、暮らし、地域を疲弊させてきた最大の原因である「構造改革」路線は転換されなければなりません。しかし、政府の狙いは転換どころか、デジタル化で新たな「構造改革」を進める方向となっています。そのことによって、今後は新たに、国の「規制改革」によって〜大企業の利益拡大を目的に国民の安全・権利を守る規制を緩和・撤廃されるのではないかとの恐れが出てきています。
その根拠となるものとして、3つのことがあげられます。
一つは、岸田内閣は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2021年12月閣議決定)で、構造改革のための基本原則」を定めています。
二つ目に、「自治体戦略2040構想」(2018年総務省研究会報告)では、・AIなどを活用した「従来の半分の職員でも、自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みが必要」と、自治体職員の大幅な削減が狙われています。
自治体は、公共サービスを提供するサービスプロバイダー(サービス提供者)から公共サービスを管理するプラットフォーム(行政の施策を実施するための基盤)ビルダーに転換する。市町村の行政サービスを圏域に統合・一元化するなどとしており、これは単なる自治体連携にとどまらず、将来的には新たな市町村合併をもたらすことにつながりかねません。
三つ目に総務省「自治体DX推進計画」(2021年)の意義・目的では、「多様な主体との連携により、民間のデジタル・ビジネスなど新たな価値創造等が創出される」とありますが、実際のところは、デジタルで国民の情報を集積・活用し、大企業の新たな利益拡大と権力による国民監視を行うということになります。
そして、自治体業務の集約化、民営化、中央集権化で、地方自治体を財界・政府に奉仕する機関に変質させる、新たな構造改革が実行されるということになってしまいます
Q17、2025年度から実施予定の自治体デジタルトランスフォーメーション(D X)について、市長はどうとらえているのか、見解をお示しください?
【国民健康保険料・介護保険】
日本の健康保険制度は、全ての国民が何らかの健康保険に加入し、必要な医療が保険の範囲で受けられる国民皆保険となっており、国際的にも優れた制度と評価を受けています。その中で、国民健康保険は他の健康保険や後期高齢者医療に加入していない人全てを対象とし、国民皆保険を下支えするものとなっています。また、国民健康保険法第1条で、「国民健康保険事業の健全な運営を確保しもって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と示されているように、明確な社会保障の一制度です。
2018年から都道府県単位化が実施され、財政運営の主体は都道府県になったものの、市町村はこれまでどおり地域住民と身近な関係の中、被保険者の実情を把握した上できめ細かい事業を行うこととされています。
尼崎市の国民健康保険は、現在加入者が61,388世帯87,913人 人口比率19.3%です。保険料は、所得割の他に家族員の数による均等割り、世帯ごとの平等割が加算されるため、協会健保の同程度の所得・家族構成と比べて2倍近い高負担となっています。ちなみに尼崎では、均等割がひとり3、9万円、平等割が1世帯あたり2.6万円となっています。
また、加入者は個人事業者や無職、74歳までの定年退職者とその家族であるため、時々の社会情勢に左右されやすい低所得者が多くを占め、保険料の滞納が大きな問題になっています。滞納が解消されず市の指導に応えない状況が続けば、健康保険証は発行されません。いのちと暮らしを守る社会保障制度なのに、医療を受けにくくさせる制裁があることは、制度の大きな矛盾です。滞納世帯は8,809世帯、全体の14.3%にあたります。
国民健康保険への国庫負担は、1984年をピークにどんどん削減されてきました。それにつれて加入者個人が払う保険料の負担は重くなってきました。滞納問題を解決し国民健康保険財政の安定運営には、保険料の引き下げが不可欠です。
日本共産党はいのちと暮らしを守るために、保険料の引き下げを求め続けてきました。具体的には均等割と平等割をなくすこと、そのために国全体で必要な財源は約1兆円となります。また、国が実施するまでは、市として一般財源からの繰り入れを行って、保険料の引き下げに努力することを求めています。
Q18、市長は国民健康保険について、社会保障の1制度だという見解はお持ちでしょうか。大きな問題となっている滞納について、解決の方向はどのように考えておられますか。
次に介護保険制度についてです。今、国では、第8期2024年度からの介護保険制度改正に向けた作業が進んでいます。報道によれば、少子高齢化が加速する下で制度の持続可能性を保つためには、負担の増かサービスの縮小が問われているとのことです。具体的な論点は、①介護保険サービスの利用料について2~3割負担の対象を拡大 ②要介護1・2の保険給付外し ③ケアプランの有料化④老健施設などの相部屋の有料化 ⑤補足給付の資産要件に不動産を追加 ⑥高所得者の保険料引き上げ です。
いずれにしても介護保険料はほとんどの人が年金や給料から、自動的に天引きされ、かつ改定のたびに引きあがっているのに、サービスを利用する際には負担がさらに重くなり、サービス内容についても制限がかかってきます。これではサービスを控えざるを得なくなって、介護離職や介護をめぐる不幸な事件が増えると懸念します。ケアプランの有料化はケアマネージャーの相談機能にも壁を作り、市民と介護保険制度の距離が生じてくると思います。
Q19、市長は次期介護保険制度改正の方向について、市民生活への影響についてどのよう捉えているのか見解をお示しください。
【経済・中小企業零細事業対策・支援策】
尼崎市は製造業者の街、商売人の街として長年栄えてきましたが、大店立地法の施行、消費税の相次ぐ増税、長引く不況と後継者不足などで、年々衰退してきました。
政府の中小業者つぶしとも言うべき無為無策により、日本全国の街並みは地域の特色が薄れ、どの駅に降りても金太郎飴のごとく大型チェーン店、パチンコ、サラ金の店舗が林立しています。
先般、NHKの夜ドラマ「あなたのブツがここに」などで、尼崎の街、商店街がロケ地になり、そのレトロな雰囲気が人々の郷愁を誘い、注目されています。しかし、三和商店街のシャッター通りとなった光景は、地域の衰退を最も如実に表しているものであり、看過することはできません。
Q20、尼崎の特色を生かしながら、地域の市場・商店街の再興、発展のために、行政が抜本的な施策を打ち出していくべきだと思いますが、市長の考えをお聞かせください。
また、製造業をはじめ、地域の中小企業、小規模零細事業者の方々は、かつてない円安、ウクライナ侵略による原材料・資源高の影響で、未曽有の物価高騰に苦しめられています。来年10月からは1000万円以下の消費税免税事業者に、課税業者になるか、さもなければ取引きを打ち切られ、廃業に追い込まれるか、の選択を強いる「消費税インボイス制度」が予定されています。そもそも消費税が導入された1989年、当時の竹下内閣は、小規模零細事業者はその資本力の小ささ故に、消費税分を販売価格に転嫁できず、煩雑な事務をすることが困難であることなどから、年間売上3000万円以下(現在は1000万円以下です)の事業者に消費税の申告を免除する、免税点を設けました。
その逆進性の高い間接税である消費税によって、中小業者は当時よりさらに苦しめられているのが現状です。
Q21、市が、これら国の悪政の防波堤となり、また、持続可能な地域経済をつくっていくためにも、これまでの延長線上でない、コロナ禍における一時的でもない、地域の中小業者のための戦略的かつ早急な支援策、対策が必要だと思いますが、市長の考えをお聞かせください。
【アウトソーシング・民営化】
指定管理、または民間移管してのち、市民サービスの低下が危惧されるものとして、取り上げるのが、尼崎市社会福祉事業団の事業です。
尼崎市社会福祉事業団は1984年市が設置した社会福祉施設について専門的な施設運営体制を確立し得る方法として、市の外郭団体として設立されました。2006年からは、03年に市が導入した指定管理者制度の下、児童養護施設・母子生活支援施設・身体障害者デイサービスセンター・児童発達支援センター・医療型児童発達支援センター・養護老人ホームの管理運営を担ってきました。09年には、母子生活支援施設と養護老人ホームについて市から施設移管を受けています。
民間委託から今年で38年、2021年度事業団事業報告で人材確保が大きな課題であることが明らかになっています。①これまで30歳から50歳までの中間層で離職者が増え、新卒などでその補充を行ってきたことから、経験年数の浅い職員の割合が高くなった ②係長・課長級の職員のほとんどが後7~8年先に定年退職となり、このままでは後継者がいなくなる ということです。背景には、賃金や処遇等で兵庫県下中から少し下の水準にとどまっていることが上げられると思います。
公共サービスの民営化は経費節減と効率化が目的とされてきました。施設の物的経費は運営形態によってそれほど変わらず、経費節減は人的経費に集中します。社会福祉事業団としては、所属ごとの職員数や専門職種・資格者の必要数などを示して尼崎市に指定管理料の増を求めているものの、なかなか前に進まないとのことです。社会福祉事業団の担っている業務は、公的責任の下で行うものばかりです。人件費が抑圧されれば人材確保はままならず、それは市民サービスの低下に直結します。
ここに民営化の弊害が端的に現れていると思います。
議員団は,本来市職員が行わなければならない業務について,アウトソーシング,民間移管・委託することについて,議会で一貫して反対してきました。またこれまでの保育所の民間移管,市民課窓口の民間委託,下水道事業等の業務委託等についても,定期的に検証を行い,必要があれば見直しを行うべきだと主張してきました。その理由は,このまま民営化が進めば公務労働を担うベテランの職員,職務に精通しているスペシャリストがいなくなり,災害等の際の危機管理に対応することも、市民のニーズに積極的に応えることもできなくなる,ひいては市民サービスの低下をもたらすことになると指摘してきました。また守秘義務を有する公務員だからこそ,市民のプライバシーが守られ,安全を確保することができると訴えてきました。やみくもな民営化の流れは,情報漏洩を引き起こし,市民の安全性を担保することはできないと警鐘をならしてきました。
Q22、市長に伺います。今、例示したものに限らず民営化そのものの見直しを求めますが、いかがでしょうか。
第3登壇
ここでは今後の市政のあり方について、私たち日本共産党の基本的な考え方とともに、要望について述べさせていただきます。
まずは国の戦争する国づくりについてです。 政府は16日、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有を明記。日本が攻撃されていないもとでも、米国からの要請があれば「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)での敵基地攻撃も可能とし、「日米が協力して対処していく」(国家安保戦略)と盛り込みました。敵基地攻撃を実行するため、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークなど大量のミサイル配備計画も明記。戦後安保政策の根幹である「専守防衛」を国民的議論もなく放棄する安保3文書の具体化を許さない世論と運動が急務となっています。日本共産党は、100年間反戦平和を貫いた党として、閣議決定の撤回を求めるものです。平和でなければ市民の暮らしを守ることはできません。ともに声をあげていこうではありませんか。
次のステージとのかかわりの問題では、過去の財政問題をどう総括するかということが問われていると思います。
共産党議員団は、過去の身の丈を上回る大型開発によって借金が膨らんだことに、真摯に向かい合い反省をすべきだと主張してきました。次の議会で尼崎市財政運営基本条例案が提案されるようです。この条例案の制定背景で、説明されている点、「すでに着手済みであった駅前等の大規模開発事業の継続実施や、土地開発公社の経営健全化に取り組む必要が生じたことなどから、本市は多額の負債を抱えることとなり、利子を含めた多額の公債費負担が生じたことで、硬直化した厳しい財政状況が続くこととなった。」と述べ、そして「本市がこれまでに経験した財政的な危機を将来にわたって二度と招くことのないよう、過去の教訓を充分に生かして行くことで健全な財政運営を維持し市民の福祉の増進を図っていくため尼崎市財政運営基本条例を制定する」としています。大型開発の予算に一貫して反対してきた議員団の考えがおよそ30年を経てようやく共通認識となったことは感慨深いものがあります。
地域経済への支援策
日本共産党はこれまで「住宅店舗リフォーム制度」や「小規模修繕工事希望者登録制度」など、地域の事業者が潤う施策実現を要望してきました。
「地域内循環型の経済社会」の構築こそ地域経済の発展にとって大事であり、やみくもなグローバリゼーションの押しつけは、大企業、とりわけ多国籍大企業やIT産業だけを利するだけです。
地方自治体の役割として、格差と貧困を拡大する大企業優位の経済から地域内循環型の経済に抜本的に転換するよう、強く要望いたします。
民営化の見直しについてです
民営化路線を改めるべきです。
自治体の民営化路線を避けられない既定路線と考えるのか、それが本当に市民サービスにプラスになっているのか、質の高いサービスが提供でき、働き手が安心して就労できるものになっているのか、民間移管、民間委託、指定業者制度等、全面的な見直しが必要となってきていると思います。今後とも大いに議論して行きたいと思います。
最後に、国の政策を無批判に推進、行財政改革で借金を減らすことを、最優先で取り組んできた市政を、今後は、市民の福祉・暮らしを最優先で守る市政に転換していくためにともに力を尽くしていきたいと思います。
以上で日本共産党議員団の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
# by kawatetsu20120208 | 2022-12-22 09:19